女性更年期障害の症状には、のぼせをはじめ様々なものがあり 症状の出方や程度には個人差があります。ほとんど感じずに過ごす方もいれば、複数の症状に悩まされる方もいます。中でも多くの女性に見られる女性更年期障害特有の症状が、のぼせです。

 

異常な熱感が頭や顔に起こったものをのぼせといい、顔、頭に加えて体にも起こったものを ほてりといいます。のぼせは精神的に緊張したり恥ずかしい思いをしたときや熱があるときにあらわれやすいものですが、更年期の女性ホルモンの減少や、自律神経のバランスの乱れなどで慢性的にのぼせが起きる場合もあります。

主に顔が熱くなるような感じで、お風呂上がりのような感覚や熱い温泉などに入って湯あたりしたような感覚が持続します。のぼせは、顔や上半身を中心に熱くなり汗をかいたりするので、非常に不快な状態が続き物事に集中できなくなります。仕事や家事をしている最中でも、のぼせで汗がタラタラとこぼれる方も少なくありません。こうなると作業内容によっては作業を中断せざるを得ず、物事が進まずイライラしたり他人に迷惑をかけることで落ち込んだり悩んだりする方が増えます。

更年期障害には、のぼせの他いろいろな症状がみられます。のぼせやほてりなど「ホットフラッシュ」と呼ばれる血管運動神経症状も代表的な症状のひとつと言われています。頭が重いと感じることをはじめ、熱くなり、徐々に首や胸、背中にまで広がっていき発汗しやすくなります。回数、症状の重さ、時間は人それぞれで、同じ人でもその時々により違ってきます。血管運動神経症状を経験した女性の85％が1年以上も持続し、5年以上経験している方もあり、中には15年以上ホットフラッシュに悩まされている方もいます。

 

そのような症状がきっかけでストレスが生じ、精神的にも悪影響を与えることから のぼせで悩む方は多いのです。クーラーや扇風機をかけてもその場しのぎでしかなく、体の中からのぼせる感じが持続するので、のぼせで地獄のような苦しみに陥る方もいるほどです。のぼせが起こるのは、女性更年期障害によって女性ホルモンの1つであるエストロゲンが減少することが1つの原因です。

 

エストロゲンというのは女性らしい体を作ったり、妊娠や胎児の育成などに欠かせないホルモンで 卵巣から分泌されています。ですが閉経を迎えるころには、妊娠や子供を育てるための母乳生成や胸の膨らみなどの準備をする役割を終えます。そのため、卵巣が老化してエストロゲンの分泌量も急激に減少してしまうのです。

 

エストロゲンには女性らしさをキープする働きだけでなく、様々な生理機能を保つ働きがあり、血管拡張作用もあります。そのため、エストロゲンの分泌量が減ることで血管の柔軟性が低下し血圧が上がりやすくなり、のぼせが起こります。さらに女性更年期障害に伴う様々な体の不調や精神的なストレスも加わると、血圧の変動が激しくなり、急にのぼせたり逆に体が冷えたりとアンバランスな不快な状態が起こり、倦怠感で悩まされることになるのです。

 

のぼせ症状に悩んでいる方は、自律神経の変調で体内での温度調整機能が鈍っています。そのため衣服による温度調整をこまめに行うことが大切です。風通しのよい服を着たり、すぐに羽織れるカーディガンを持ち歩き、症状が現れたときにも調整しやすいようにしておくとよいでしょう。自律神経の乱れも関係しているため、年齢が若い人でも注意が必要です。自律神経は、自分の力で強引にコントロールすることはできません。正常に機能してもらうには、その周辺の体内環境を整えることを意識しましょう。自律神経のバランスを整え、更年期の「のぼせ」を明るく乗り切るには、体内でのエストロゲンの分泌を増やすことが重要です。

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