■坐骨神経痛は大変つらい症状です。

坐骨神経の経路と分布領域に痛みのあるものが坐骨神経痛と呼ばれています
坐骨神経は腰椎の4・5番目の神経と仙骨の前面から出る神経の束が合わさり、大殿筋(お尻の筋)の下から大腿の後ろを通り、膝の裏の上(大腿の下3分の1の高さ)で前後とに分かれて走行しています。

歩いたり、転ばないようにバランスをとったりするためには、脳(中枢)から脊髄を通り、下肢の動きに関してはこの坐骨神経(末梢神経)に無意識に指令が出ています。
また、下肢の皮膚感覚にも大切な働きをしています
坐骨神経痛は、神経が圧迫などの障害を受けた為、腰・臀部〜下肢にシビレや疼痛を発症するものと考えて良いでしょう。
歩いたり座ったりということが制限されることが多く、日常生活に大きな支障を来たします
■坐骨神経痛の原因

坐骨神経痛が生じるには、坐骨神経が圧迫や牽引を受けていることが考えられます
年齢により異なりますが、比較的多いのがぎっくり腰から腰痛が慢性化したもの、次に梨状筋症候群が挙げられます。
梨状筋は仙骨(お尻の真ん中の骨)から始まり、足の付け根に付いており、股関節を外旋(足先を外に向ける)させる働きがあります。
この筋が炎症もしくは過度の緊張状態になると、その下を通る坐骨神経を圧迫して神経の走行に沿って痛みがでます。
梨状筋症候群は比較的緩徐に発生し、通常はラセーグ徴候が陰性となります。
梨状筋間で坐骨神経が絞扼され、仕事や運動でストレスが加わり発症することが多いようです。
比較的稀な疾患とされていますが、約10%の頻度で坐骨神経のバリエーションが存在することから、見過ごされていることも少なくないと思われます。

一方、高齢者では変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症などの変形疾患に多く見られ、脊柱管狭窄症とは腰椎(腰の骨)が老化などにより変形し、脊柱管(神経が通る穴)が狭くなって神経を圧迫し痛みが現れます。
主な特徴は"間欠性跛行"という症状で、数分の歩行で両足又は、片足全体に痛み、しびれなどが出現します。
しばらく休息をとると再び歩行ができますまた帯状疱疹により坐骨神経痛を発症する場合もあります。
原因としては、アルコール・砒素・鉛・糖尿病・痛風・梅毒などの、中毒・代謝疾患・感染性疾患によるもの。仙腸関節または脊椎の関節炎、股関節炎、坐骨神経鞘を含む筋膜炎、筋に波及する繊維組織炎、変形性骨炎、第5腰椎の仙骨化、脊椎カリエス、脊椎腫瘍、骨盤腫瘍、炎症性の神経炎があげられている。
ヘルニヤによって、神経根および周囲組織が圧迫されると血行障害が起こり、循環状態に変化を及ぼします。
また周辺に浮腫が現れたりして一層神経根への刺激が強まり、悪循環を形成してきます。
その刺激による痛みは、臀部からやがて大腿下腿へと拡大して行きます。痛みと痺れ症状がある場合、もっとも大きなヘルニヤが長期的に神経根を圧迫し、筋力低下があれば、更に大きく強い圧迫が存在していることを意味しています。
やがて、炎症を起こし「神経根」状態になります。
これが痛みの直接原因です。
椎間板ヘルニヤは、やがて瘢痕萎縮化し神経圧迫を止めるようになります。
神経根炎が長期に渡ると周辺の繊維化や癒着が起こり、変性した神経組織は元の状態に回復することが不可能になります。 |
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