更年期障害は、頭痛、のぼせ、ほてり、肩こり、腰痛、動悸、倦怠感などのほか、物忘れ、不眠などあらわれ方はさまざまです。
更年期障害は期間や程度にも個人差が大きく、寝込んでしまうほどひどい人もいれば、何の更年期の症状もなく過ごしてしまう人もいます。

しかし、更年期障害は症状の差こそあれ、女性ならば必ず更年期に経験するもので、これに悩んでいる女性は少なくありません。


女性のライフサイクルはホルモンの変化


女性のライフサイクルはホルモン分泌により、小児期、思春期、成熟期、更年期、高年期(老年期)の5つに分けられます。
「小児期」は卵巣がまだまだ未熟なため、女性ホルモンはごく少量しか分泌されませんが、10〜12歳ぐらいになって卵巣が発達すると女性ホルモンの分泌が増加し「初経」を迎えます。
でも、まだ卵巣の機能は完全ではないため「思春期」の初期には月経不順や月経痛に悩まされたり、心身のバランスがとれず、心が揺れ動いたりします。


徐々に卵巣機能が成熟して排卵が起こり、女性ホルモンが活発に分泌されるようになると「思春期」の後期や「成熟期」には、妊娠・出産が可能になります。30代後半〜40代前半になると、卵巣機能が徐々に低下し始め、50歳前後に「閉経」を迎えます。この閉経をはさんだ前後10年を「更年期」といい、女性ホルモンの分泌量が急激に減少するために、月経異常やのぼせなど、さまざまな更年期障害の症状が出ます。


■女性ホルモンの分泌について


女性の体には40種類以上のホルモンが働いており、心身がバランスよく機能するための潤滑油の働きをしています。ホルモンを分泌する器官を「内分泌腺」といい、卵巣や下垂体、副腎、甲状腺、膵臓などがあります。

女性ホルモンの分泌量が減少することにより体調の変化おこりますが、この中で日常生活にさしつかえるようなものを「更年期障害」といいます。
でも、更年期を迎えたからといって、日常生活に支障をきたすほどの強い更年期障害の症状がすべての女性に起こるわけではありません。


■女性ホルモンの分泌と自律神経


更年期障害の原因は、閉経が近くなって「エストロゲン(卵巣から分泌される女性ホルモン)」の分泌量が急激に減少すると、エストロゲンを以前のように分泌させようと、下垂体から「卵胞刺激ホルモン(エストロゲンの分泌を促すホルモン)」がたくさん分泌されます。
この2つのホルモンのバランスが乱れることによって自律神経のバランスも崩れやすくなり「自律神経失調症」が起こるのです。

自律神経の中枢が下垂体のすぐ近くにあるため、自律神経が影響を受けてしまうと考えられています。自律神経は私たちの意思で働きを調節できない神経で、心臓や胃腸、血管をはじめ全身の機能をコントロールしていますので、自律神経が不調になれば、全身にさまざまな更年期障害の症状が出てきます。

とくに多いのが、突然、カーッとのぼせて汗が出て、顔や胸が熱くほてり、動悸がしたり脈が早まるといった更年期障害の症状です。
しばらくするとおさまりますが、症状がおさまったかと思うと、次々に違った更年期障害の症状が出ることもあります。

更年期障害の場合、いろいろな自覚症状に悩まされ、病院で検査を受けても原因となる病気は見つかりません。また、症状は一定せず、症状の出方にも波があります。これを「不定愁訴」といい、更年期障害の症状の大きな特徴といえます。
 通常、体がホルモンの変化になじむに従って、自律神経も落ち着いてくるため、これらの更年期障害の症状は次第におさまりますが、症状が強い場合などは症状に応じて必要な治療を行います。