■骨粗しょう症(骨密度の低下)

私たちは、骨といえばカルシウム思いますが、骨は「カルシウムの山」とも呼ばれ、体内にあるカルシウムのなんと99%を貯蔵しているそうです。
カルシウムは、およそ1兆個もある私たちの体の細胞のはたらきを司るもので、常に血液中に一定の量を保っているのです。カルシウムは、体内で合成することができないので、食べ物から摂るしかないのだが、もしカルシウムが体内に入ってこない場合、骨は自らのカルシウムを血液中に溶かしだし濃度を一定に保とうとします。
カルシウムが引き出される一方だと、骨はやがてもろくスカスカになってしまうことを考えると、骨とカルシウムの関係は大変強いものです。。
身長の伸びが止まると、骨の成長も止まると考える方が多いと思いますが、しかし、骨は常に新陳代謝を繰り返しています。「破骨細胞」が古くなった骨の成分を溶かして破壊し(骨の吸収)、「骨芽細胞」が骨の表面にたんぱく質のコラーゲンを分泌、その上にカルシウムを定着させてゆきます。
骨の老化は体質的なものや生活環境、栄養状態によって、年齢を重ねていくごとに、大きく差が出ます。
つまり、骨のカルシウム分の不足などで骨の密度が低く、スカスカになってしまったため、もろく折れやすくなった病気が、これが骨粗しょう症です。
丈夫な骨を維持する為には、古い骨を溶かし、その後を新しい骨で埋めるシステムがスムースに繰り返される必要があります。
骨は、破骨細胞と骨芽細胞の2種類の細胞がバランスを保って働いていますが、骨を溶かす破骨細胞の働きが、カルシウム不足などで骨をつくる骨芽細胞の働きを上回ると、骨の再生が間にあわなくなって、もろくなり骨粗しょう症を招きます。
骨粗しょう症の人は、太ももの付け根(大腿骨頭部)を骨折する例が多いのですが、年をとってからこの部分を骨折すると、そのまま寝たきりになって、ボケへと発展する恐れがあり、高齢者にとっては大事な注意点なのに、骨そしょう症は毎年ふえています。
吸収と形成のバランスがとれている状態が理想ですが、何らかの理由で吸収の方のはたらきが強くなると骨の破壊が進み、骨折しやすくなってしまい、骨粗しょう症となってしまいます。
■圧倒的に女性に多い骨粗しょう症

骨の量は男女ともに20〜30代でピークになり、その後、一定の骨量を保ちますが、女性は閉経の後、女性ホルモンの量が減り始め、年を重ねるごとに減少していきます。
思春期以降の女性の骨を丈夫にする役割は女性ホルモンであるエストロゲンが担っていますが、女性ホルモンのひとつであるエストロゲン(卵胞ホルモン)には、骨をつくるとともに、骨からカルシウムが過剰に溶け出すのを抑える働きがあり、更年期に入って卵巣の機能が衰えると、このエストロゲンの分泌量が急速に減少し、そのため、更年期を迎えた女性は、骨量が急激に低下してしまい、骨粗しょう症にかかる危険性が一気に高まるのです。
骨密度とエストロゲンはほぼ同じリズムで変化し、40代以降エストロゲンの分泌低下と同時進行で骨からカルシウムがどんどん抜けてもろくなってゆき、閉経でエストロゲンの分泌が決定的に低下することにより、骨密度も急速に減少してしまうのです。
この時期に、無理なダイエットをすることは骨にかなりのダメージを与えることにもなります。
さらに、一般的に女性の骨は男性に比べて細いことからカルシウム量がもともと少なかったり、食が細かったりするのでカルシウムを十分補えないことや、妊娠してお腹の赤ちゃんにカルシウムを渡したりすることもある。女性の体は男性に比べ、骨密度を保つには不利と考えられています。
閉経期以降の50歳代の女性の3割が、60歳代では5割が、70歳以上では約7割が骨粗しょう症にかかっているという報告もあるようです。
■男性の骨粗しょう症

骨粗しょう症のリスクは女性にばかりの問題でしょうか?
もちろん、男性も加齢に伴い骨密度は低下してくるので、骨粗しょう症の危険性はないわけではないのです。
男性は大丈夫などと安心せず、毎日の生活習慣や食生活に気を配ることが重要です。
骨粗しょう症がコワイのは、転倒した場合、寝たきりにつながるような深刻な骨折をおこす可能性が高いことです。
寝たきりはさらに痴呆を招きやすく、そうなると日常生活を自力で行うことすら厳しい状況になってしまう。
骨粗しょう症による典型的な骨折は、腰や背中(脊椎)、足の付け根(大腿骨頸部)、手首などにおこる。
腰や背中の骨折(脊椎の圧迫骨折)日本人の場合、骨粗しょう症による脊椎の圧迫骨折の割合が多いようです。
痛みなど自覚症状がないのでほおってしまいがちですが、コルセットで患部を固定したりして安静にし専門医に相談しましょう。
|
|
|